中川克志 2010a 「音響記録複製テクノロジーの起源―帰結としてのフォノトグラフ、起源としてのフォノトグラフ」 『京都精華大学紀要』第36号:1-20。
がパブリッシュされたようです。
抜刷と本体を受け取りました。
去年の3月に書いたものです。
書誌情報等は3.学術論文 (Audible Culture)をご参照ください。本文もあります。
2008年3月末に復刻(?)されて、「こわい」と評判だった「1860年の声」(これについてはここ参照)を話のきっかけに、フォノトグラフ以前と以後の音響再生産テクノロジーを取り巻くコンテクストを整理しました。
1.FirstSounds.orgで公開されたスコットのフォノトグラフに関する特許文書を読んでスコットのフォノトグラフを概観し、
2.次に音を視覚化しようとするパラダイムの帰結としてフォノトグラフを位置づけるために聾教育と音響学というコンテクストに言及し、3.最後に今日的な音響録音複製テクノロジーの起点として、口モデルから耳モデルへの転換の起点としてフォノトグラフを位置づけるために、口モデルの幾つかの系譜(テレフォン、オートマタ、自動演奏楽器)を概観しました。
けっこう自分のための論文で、スターンのAudible Pastの一章を他の文献も参照しつつまとめたみたいな論文です。
でも、個人的に、この時期の音響テクノロジーのコンテクストをコンパクトに概観した文章が欲しかったので、この論文をパブリッシュ出来て良かったです。
しばらく紀要論文が何本か続けて出ます。これは聴覚文化論関連で、次はゲンダイオンガク関連。その次にサウンド・アート関連が出るかな?という感じです。まだしばらく、自分の専門領域は幾つかに分けたままにしておきます。